特定技能1号の通算5年に含まれない期間と6年までの延長:更新前の確認リスト

calendar-icon 2026.09.30
「特定技能1号は通算5年までなので、5年たったら帰国してもらうしかないですよね」

特定技能外国人を雇用している企業の人事担当者がこう考え、支援を委託している登録支援機関の担当者もそのまま「そうですね」と答えてしまう。そんなやり取りで、経験を積んだ人材の帰国準備が進んでいないでしょうか。特定技能1号の通算在留期間の上限が原則5年であることは確かですが、出入国在留管理庁は、通算に含めない期間と、通算6年まで在留できる場合を公表しています。どちらも自動で数えてもらえるものではなく、申請のときに申立書と資料で示す必要があります。

休業の記録や継続雇用の判断は受入企業の手元にあり、期限の管理や連絡調整は登録支援機関が担っていることが多いため、どちらか一方だけが知っていても準備は進みません。受入企業の人事・総務の方と登録支援機関の方が同じ表を見て確認できるよう、入管庁の公表資料に沿って、更新や変更の前に確かめる項目を一覧にしました。

見落としが起きやすい3つの場面

通算在留期間の計算で確認が抜けやすいのは、次のような場面です。

  • 産休・育休から復職した人の更新:休業していた期間も在留カード上は「特定技能1号」のままです。休業の記録は受入企業の人事、在留期限の管理は登録支援機関と分かれていると、休業の事実が更新の準備に反映されません。
  • 病気やけがで長く休んだ人の更新:休業が終わると、社内では「もう済んだこと」として扱われ、診断書や休業中の給与の記録が散逸しがちです。
  • 2号の試験に届かなかった人:不合格の通知を受けた時点で帰国の話が進み、得点が合格基準点のどのくらいだったかが確認されないことがあります。

いずれも、通算5年の満了が近づいてから気づくと、資料を集め直す時間が足りなくなります。入管庁は、通算在留期間の特例を求める申請は5年の通算在留期間が満了する前(概ね3か月前)に行うよう案内しています。

まず押さえる前提:在留期間と通算在留期間は別物

特定技能1号には、1回の許可で認められる「在留期間」と、1号として日本にいられる合計の「通算在留期間」の2つの上限があります。混同すると、更新の時期と帰国の時期の両方を読み違えます。

項目特定技能1号特定技能2号
1回の許可で認められる在留期間法務大臣が個々に指定する期間(3年を超えない範囲)3年、2年、1年又は6月
通算在留期間の上限原則5年(下で説明する除外・特例あり)上限なし
再入国許可で出国していた期間原則として通算在留期間に含まれる―

通算在留期間には、1号で在留中に就労していなかった期間や、再入国許可(みなし再入国許可を含む)で出国していた期間も含まれます。一時帰国中の扱いは「特定技能1号の人が一時帰国中は通算5年期間に含まれる?」で取り上げました。そのうえで、入管庁は次の4つの期間を通算在留期間に含めない取扱いを示しています。

通算5年に含めない期間:4つの類型と条件

1. 上陸拒否措置などで再入国できなかった期間

新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止のための上陸拒否の措置など、やむを得ない事情で再入国できなかった期間です。申立ては参考様式第1-28号「再入国出国期間に関する申立書」で行います。該当者は限られますが、過去に一時帰国したまま入国できなかった人がいる場合は、出国と再入国の日付を確認しておきます。

2. 産前産後休業の期間

産前6週間(多胎妊娠の場合は14週間)と産後8週間の休業期間です。申立ては参考様式第1-30号「休業期間に関する申立書」で行い、母子健康手帳の写しや休業を取得したことを証明する資料、休業期間中のタイムカード(又は出勤簿)の写しなどを添えます。

3. 育児休業の期間

子が1歳に達するまでの育児休業の期間です。保育所などに入所できない場合に限り、1歳6か月まで(再延長で2歳まで)の期間が対象になります。申立書は産前産後休業と同じ参考様式第1-30号です。1歳を超えて延長した人については、延長後の期間も含めて休業の開始日と終了日を記録と照らし合わせておきます。

4. 病気・けがで療養した期間

病気やけがによる療養のため休業した期間で、原則1年以下、労働災害の場合は3年以下が対象です。連続して1か月を超える休業であることが必要で、数日間の療養や断続的な通院は含まれません。申立書は参考様式第1-30号で、医師の診断書や治療期間を示す資料、休業期間中のタイムカードや給与明細の写しなど、実際に休んでいたことを示す資料を添えます。労災の場合は労災の決定通知書も用意します。

⚠ 注意:これらの期間は、申請のときに申立書と資料で示して初めて通算から除かれます。休業の記録は、休業が終わった時点で集めておかないと、数年後の申請時に揃わないことがあります。

2号の試験に届かなかった人が通算6年まで在留できる場合

もう一つの特例は、特定技能2号への移行を目指して試験を受けたものの合格に届かなかった人についての取扱いです。入管庁の公表資料では、次の条件をすべて満たす場合に、通算在留期間6年を上限として在留が許可されるとされています。

確認する条件中身確かめる資料
分野「特定技能2号」での受入れが認められている特定産業分野であること分野別運用方針
得点2号への移行に必要な全ての試験等で、合格基準点の8割以上の得点を取っていること試験の結果通知書
本人の誓約合格に向けて精励し試験を受けること、合格したら速やかに在留資格変更許可申請をすること、不合格なら速やかに帰国することなど参考様式第1-31号「通算在留期間を超える在留に関する申立書」
所属機関の体制引き続き雇用する意思があり、2号評価試験等の合格に向けた指導・研修・支援等を行う体制があること受入企業への確認(指導・研修の計画など)

分野によっては2号への移行に複数の試験(技能の試験と日本語の試験など)が求められます。「技能試験は8割を超えたが日本語の試験を受けていない」という状態では条件を満たさないので、分野別運用方針で必要な試験を確かめ、全ての結果通知書を並べて確認します。

更新・変更の前に使うチェック表

通算在留期間の満了が近い人がいる場合、満了の半年ほど前から次の表で確認を始めると、申請の目安である満了の概ね3か月前までに資料を揃えやすくなります。

#確認項目確認方法該当したら使う様式
11号の通算在留期間の満了日はいつか1号の上陸許可・変更許可を受けた日からの在留の記録―
2上陸拒否措置などで再入国できなかった期間はあるか出国・再入国の日付、当時の状況第1-28号
3産前産後休業・育児休業を取ったか休業の取得記録、母子健康手帳の写し、タイムカード第1-30号
4育休を1歳を超えて延長したか延長後の期間を含む休業の取得記録と、延長した事情の確認第1-30号
5連続して1か月を超える病気・けがの休業があったか診断書、休業中のタイムカード・給与明細、労災の決定通知書第1-30号
62号の試験を受け、合格基準点の8割以上を取ったか必要な全ての試験の結果通知書第1-31号
7受入企業に継続雇用の意思と、合格に向けた指導・研修・支援等の体制があるか受入企業の担当者への確認―(6年特例の条件)

様式は入管庁の「特定技能関係の申請・届出様式一覧」に掲載されています。様式は改訂されることがあるため、申請の直前に最新版を取り直してください。2号の業務内容に関する誓約書(参考様式第1-32号)など、関連する様式の扱いは参考様式第1-32号の記事でも触れています。

状況別の判断:誰が何を準備するか

よくある相談をもとに再構成した例です。入社から4年9か月が経った1号の外国人がいて、途中で産前産後休業と育児休業を合わせて約1年取っていた、という場合を考えます。休業期間を通算から除けば、通算在留期間にはまだ1年以上の余裕がある計算になります。このとき、関係者の役割は次のように分けると混乱しにくくなります。

立場主な役割
登録支援機関通算在留期間の満了日の把握と期限の管理、休業や受験の事実の確認、受入企業・本人・行政書士との連絡調整
所属機関(受入企業)休業の取得記録・タイムカード・給与明細の用意、継続雇用と受験支援の意思の表明、申請(自社で行う場合)
本人母子健康手帳・診断書・試験の結果通知書など本人が持つ資料の提供、誓約の内容の理解
行政書士申請書類・申立書の作成と、除外や特例の条件に当たるかの確認(依頼した場合)

休業期間の証明と特例の判断は、事情ごとに資料の組み立てが変わります。判断に迷う事情がある場合は、早めに行政書士へ相談し、どの資料で何を示すかを決めてから資料集めに入ると、手戻りが少なくなります。

また、2026年10月1日以降に受け付けられる在留期間更新許可申請・在留資格変更許可申請は、許可される在留期間の区分ごとの手数料になります(1年の許可で窓口33,000円、オンライン27,000円など)。更新の時期を決めるときは手数料改定の記事もあわせて確認してください。更新申請そのものの注意点は特定技能ビザ更新申請の5つの注意点にまとめています。

RakuVisaで満了日と休業の記録を残す

RakuVisaの特定技能外国人の管理機能では、義務的支援の記録や、期限アラート付きのTODOで期限を管理できます。休業の開始・終了や受験の予定を支援の記録と同じ場所に残しておくと、通算在留期間の満了が近づいたときに、除外や特例の対象になるかを確かめる材料をすぐに集められます。

「5年で帰国」と答える前に確かめたい3点

  1. 産前産後休業・育児休業、連続1か月を超える病気・けがの休業、再入国できなかった期間がないか(あれば第1-30号・第1-28号)
  2. 2号への移行に必要な全ての試験で、合格基準点の8割以上を取っていないか(あれば第1-31号で通算6年まで)
  3. 通算在留期間の満了の概ね3か月前までに申請できるよう、資料集めの開始日を決めたか

受入企業は自社で雇用している1号の外国人について、登録支援機関は支援を担当している1号の外国人について、通算在留期間の満了が1年以内に来る人を一覧にし、上の3点を一人ずつ確認するところから始めてみてください。一覧は両者で共有しておくと、休業の記録と期限の管理を突き合わせやすくなります。

参考(公的情報)


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